明治の歴史/めん茂楼のもう一つの物語「細原たねと能勢家」/池田市

明治時代に池田にあった
めんも楼の”細原はなさん”が
シーボルトの次男ハインリッヒと恋に落ちた話は
「池田の悲恋」として語り継がれています💁

以前、このブログでも紹介させていただきました。
ハインリッヒ・フォン・シーボルトと細原はな

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2025年11月23日に開催された
「北摂風土記」講演会
〜『語り』で味わう郷土の歴史〜

に参加してきました。

今回の記事は、その講演内容から
印象に残ったお話を抜粋してご紹介します💁

主催/北摂歴史の会
後援/豊能町・豊能町教育委員会
    能勢町教育委員会・池田市教育委員会
協力/東ときわ台自治会

語り/鎌田俊一氏
原作/細原佳氏(高田昇)

 

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めん茂楼の二人娘
姉/細原たね 
妹/細原はな 

めん茂楼には、二人の娘がいました。

  • 姉:細原たね(1860年生)

  • 妹:細原はな(1866年生)

大阪府・ときわ台で開催された
「北摂風土記 続編」の講演会で、
はなさんに お姉さんがいたこと を初めて知りました。

今回は、その 姉・たねさんの生涯
覚えている範囲でご紹介したいと思います(^^)

池田のめん茂楼

明治時代、池田には
めん茂楼 という料亭がありました。

外国からの賓客をもてなす場でもあり、
西郷隆盛をはじめ、多くの著名人が訪れたそうです。

その中には、
第三十四代 能勢領主・能勢頼萬 の姿もありました。

能勢頼萬とたねの恋

能勢頼萬がめん茂楼に訪れた際には
たねが主に接待を担当していたそうで
やがて二人は恋に落ちました。
そして、たねは妊娠しました。
頼萬には正室がいたので、側室ということになります。

生まれた子が男か女か

妊娠を知った頼萬は、
たねにこう告げたと伝えられています。

「もし女の子なら、細原家で育てよ。
 もし男の子なら、この短剣を持って
 屋敷へ上がるように」

そう言って差し出したのが
新藤五国光の短剣 でした。

明治12年、生まれた子は女の子。
「しま」 と名付けられ、
川西の地でたねが育てることになります。

しまは、
能勢頼萬の“側室の子” という立場でした。

細原しまの結婚

側室の子としてひっそりと育てられたしまですが
大人になり”高田松之助”に嫁ぎ
一人の男の子に恵まれた。

能勢家の跡継ぎ問題

34代 能勢頼萬
 本妻:定子
 側室:たね
    ↓
35代 能勢頼定

35代頼定には子がなく、
能勢家の跡継ぎ問題が浮上します。

悩む正室・定子のもとで、
側室たねが産んだ しまの存在 が注目されました。

しまには男の子がいたのです。

「頼萬には、男孫がいた——」と喜びます。

その子の名は 高田道心

正室定子からしまに申し出

正室・定子は、
道心を 能勢家の跡継ぎとして迎えたい と考え、
しまに申し出ます。

しまは悩みに悩み、
広岡信五郎 にも相談したそうです。

熟慮の末、申し出を受け入れ、
道心は
能勢家の嫡子「能勢頼道」 として
生きることになります。

能勢頼道として生きる

頼道は、

  • 冷泉家で 歌道 を学び

  • ベルツ博士に 近代医学 を師事し

  • 土御門家で 陰陽道 を修め

能勢家36代として、
多くの学問に励み成長していきました。

能勢家廃嫡

様々な修行に努めていた頼道でしたが
32歳のときに不慮の事故に遭い重篤な容体となり
廃嫡を余儀なくされ
高田家に復籍することになりました。


いただいた資料


感想

はなさんとハインリッヒの物語は「池田の悲恋」として知られていますが、
今回、姉・たねさんにもまた別の物語があったことを知り、
細原家の歴史の奥行きを感じました。
個人の恋愛譚としてだけではなく、
家督や養子、家の存続といった当時の社会の仕組みが、
ひとりひとりの人生に大きく影響していたことが印象的でした。
はなさんには他にもご兄弟がいたのか、
機会があれば確認してみたいです。

今回の講演会は、
語り・音楽・映像が組み合わさった構成で、
物語が流れるように展開し、
気がつけば時間を忘れて聞き入っていました。

細原家の歴史や能勢家の物語が、
単なる史実の紹介ではなく、
一人ひとりの人生として立ち上がってくるように感じられ、
郷土史を「味わう」時間だったと思います。

このような貴重な機会を企画してくださった方々、
そして準備・運営に携わられたスタッフの皆さまに、
心より感謝いたします。
ありがとうございました。

コメント

  1. 古川ひろのり より:

    講演会も素晴らしかったですが、この執筆はピカイチです。素晴らしい!

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