『こまっ鳥居⛩のよるさんぽ』へんな話(*^^*)

神社の鳥居⛩さんは、
もう千年もちかく、山の上でじーっと立っていました。

人々が通るたびに、「ようこそ」と心の中であいさつして、
どんな日も、どんな季節も、動かずにそこにいて、、、
たくさんの人々の祈りや願いを静かに聞いていました。

だけどある夜――

ぽつんと星の光が降る静かな夜に、
鳥居さんは、ふと思いました。

「ちょっと、町までさんぽしてみようかな。」

「よっこらしょ」
大きな体をぐぐっとゆらして、
鳥居さんは山を下りて、町へとすり足で歩き出しました。

ずりずり、、、ずずずーーー
はぁ、よっこらしょっ⛩

町には、いろんな光がありました✨
にぎやかな看板、くるくるまわる信号、コンビニの明かり。

初めて見る景色に、鳥居さんはわくわくして、
ついついあちこちをずりずり歩き回りました。

けれど――

そのころ、神社の神様が鳥居さんがいなくなったことに気づいていました。

「なにぃ! 鳥居が勝手に散歩に!?
鳥居は鳥居らしくドンと立っておけばいいものを!」
 

「よし…こうなったら、ちょっといたずらして
 困らせてやろう!うっしし」

そうして神様は、町じゅうを
ぐにゃぐにゃの迷路に変えてしまいました。

在る夜、↓この絵を描いたことからこのお話しができました。


鳥居さんはというと――

歩いても歩いても、どこかおかしい。
さっき歩いたはずの道が、すぐにどこかへ消えてしまう。

「あれ? あれれ? 帰れないぞ……
 こまった、こまった、こまっ鳥居💦」

へんなダジャレを言ってる場合じゃない!
でも、あせればあせるほど、道にまよってしまいます。


そんなとき――

ふんわりと、あまい香りがしてきました。
どこか懐かしい、、、日本酒ではなく、、、
ウイスキーの香りか。

その香りに導かれて歩くと、
やさしそうなおじいさんがベンチにすわっていました。

めがねをかけて、帽子をかぶったおじいさんは
にこっと笑って、こう言いました。

「おやおや。君は神社の鳥居さんだね。」

「はい…でも迷子になっちゃって…」
鳥居さんがしょんぼり答えると、
おじいさんは、ふふっと笑ってこう言いました。

「じつはね、ぼくの名前も“鳥居”なんだよ。
 “人の心をうるおすもの”を大切にしているんだ。」

そう言って、金色のラベルのウイスキーと
こまかい“地図”を渡してくれました。

その瞬間、不思議なことに
町の道がすこしずつ、まっすぐにつながりはじめました。

「ありがとう、鳥居の仲間…!」

そう言って、鳥居さんはまたずりずり歩き出しました。

――そのころ神社の神様は、、、

鳥居さんが鳥居さんからウィスキーをもらったことを知り
それを早く飲みたいがために

真顔でリモコンの「道なおしボタン」を押していました。

「ウイスキーよ!早く帰ってこーーーい!」

そして神様は正座して、
神社の入り口でいまかいまかと鳥居さんを待ちました。

やがて。

ずりずりずずずずずずーーーと、すり足の音。

「ただいま戻りました」

「おお、鳥居! よう帰ってきた!」
「ほほほーウィスキーを持っておる!今夜は酒盛りじゃー」

そうして神様と鳥居さんは、
ウィスキーのボトルを開けることにしました


――乾杯。

鳥居さんは、神社に帰ってから
神様に、今日の出来事をゆっくり話しました。

「町には、まぶしい光がたくさんあって……
 でも迷子になってしまって……
 そしたらね、やさしいおじいさんが助けてくれたんです。
 その人、名前が『鳥居さん』でした!」

神様は、ふーんと目を細めて言いました。

「……それはたぶん、サントリーの社長やで。」

「えっ!? しゃ、社長!? なんの?」

「サントリーや。太陽の“サン”と、鳥居の“トリー”を合わせて、
 “サントリー”って言うんや。
 昔っから“人の心をうるおす”もんを大事にしてきた会社やで。」

「へぇ〜〜〜……!」

鳥居さんは目をまんまるにして、
すごくうれしそうにうなずきました。

「わたしも、そんな“うるおす鳥居”でいたいなぁ……」

神様は、にこにことうなずいて、
ふたりはまた、あの香ばしいウイスキーで――

乾杯。

夜の神社には、
ふんわりと香ばしくて、あたたかい香りがただよいました。

そして鳥居さんは思いました。

「また…ときどき、町へ行ってみようかな。」

でもそのときは、神様の晩酌が終わってからにしよう――。

(おしまい)

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